「ホスピタリティ」と「粗利管理」で経営危機を
乗り越える
近代日本の資本主義を築いた渋沢栄一の著書『論語と算盤』には、「道徳(論語)と利益(算盤)は対立するものではなく、両立すべきである」という思想が説かれています。私は、事業再生の現場でこの考え方を強く実感しています。
「ホスピタリティ」という言葉を聞くと、多くの経営者はホテルやレストランなど接客業を思い浮かべがちです。しかし、私が提唱するホスピタリティは、業種や業態を問わず、すべての企業経営に通用する普遍的な概念です。一言でいえば「相手を思いやる心」。単なる親切心ではなく、相手の立場に立ち、何を求めているのかを感じ取り、それを行動に移す姿勢を指します。
そして、利益の源泉は「粗利」にあります。いくら売上が大きくても、粗利が小さければ事業は立ち行きません。企業が生き残るためには、適正な粗利を確保し続けることが不可欠であり、そのためには「粗利管理」が経営の軸になる必要があります。
渋沢栄一はこう述べています。
「論語を離れた算盤は無慈悲であり、
算盤を離れた論語は空虚である」
まさにこの言葉のとおりです。ホスピタリティで顧客に価値を提供し、その対価として適正な粗利を得る。この両立こそが、私が実践する事業再生の哲学そのものです。